過多より偏り

思うこと、想うこと、事のこと

去年見た刀の映画の話

 森にあつまっていたら1ヶ月がすっ飛んでいました。「どうぶつの森やったことないけど絶対向いてないと思う」と言いながら、友人に釣られてプレイし始めたのにこの体たらくです。フラグの建設が天才的にうまいです。

 

 このゲーム忙しくないですか?収集癖がひどいので、毎日入荷される服や小物・家具などを、閉店時間までに必死で入店して買い占めています。ゲームなのに閉店するな。収納にも制限があるので、服を部屋にしまうために家を改築して収納を増やし、虫取りや魚釣りで金を稼いでローンを返す日々……。現実でも嫌なのになぜゲームでローンを組まされているの?あと住みやすいように開拓したり景観を良くしたり住人を愛でたり、現実よりもやることが多くて忙しい!!!!!という言い訳の話。

 

 思うことは毎日ありますが、うまく言語化できなくて行き詰まり、毎日マスクで息詰まり、酸素って大事なんだなと実感しています。脳も体もどことなく元気がない。下書きには書きたいことが箇条書きで放ったらかしにしてありますが、上記のこともあり、インプットが足りないのかアウトプットもうまくいかないな〜と、昔書いたものをいろいろ眺めていたら、インプットしすぎて吐き出すようにアウトプットしていた映画感想文が出てきたのでここに記録します。

 

 

 「映画 刀剣乱舞 -継承-」の感想です。

 

 意味ありげに継承と付いてますが、特に続編ではないです。設定が特殊ですが、話のつくりがめちゃくちゃおもしろいのでオススメ。でもこの映画を見るにあたって、予備知識がある方が楽しめるだろうな、と思うのでそれとなく記述します。

 

 まず、「刀剣乱舞」について。

 原作は誰でも無料で始められるPC版ブラウザゲームであり、後々スマートフォン版アプリでも配信されました。ジャンルは「育成シミュレーション」です。

 

 西暦二二〇五年、歴史の改変を目論む歴史修正主義者によって、過去への攻撃が始まった。
 時の政府により歴史の守護役を命じられた審神者(さにわ)は、かつての刀剣を目覚めさせた。
 歴史修正主義者が送り込む、時間遡行軍と戦うために。人の形をとったそれらを、“刀剣男士”という。

 

 簡単に言うと、過去を変えようとしている勢力"時間遡行軍"を、主人公である"審神者"が、歴史ある日本刀を擬人化した"刀剣男士"を使役して阻止する、という話です。このストーリーを基盤に、ゲーム以外にも「ミュージカル」「舞台」「アニメ」「まんが」、そして「実写映画」と広くメディアミックスを展開しています。わたしはゲームを少し齧った程度で、アニメをちょっと見たな〜ぐらいの知識があります。つまりあんまり無いです。

 

 前述した通り、ある程度の日本刀・日本史の予備知識があり、刀剣男士というイレギュラーな存在を飲み込めるならば、ストーリーがもうすごいスルスル入ってきます。なんてったって、時代劇専門チャンネルで放送されましたからね!

 

 

 後述の感想にもありますが、刀剣男士というファンタジーを抜けば普通に時代劇になるので……本当にすごいです……。いや、時代劇もファンタジーみたいなものですが……暴れん坊将軍仮面ライダーと一緒に戦ってくれるし手を繋いで踊ってくれるし……。

 

 

 ところで、わたしが刀剣乱舞の映画に興味を持ったきっかけですが、完全に脚本家目当てです。"小林 靖子"先生、愛称:靖子にゃんが脚本をするというのでまんまと釣られました。

 

 靖子にゃんは特撮のライターとしてよく知られている脚本家です。なかでも「仮面ライダー電王」が有名ではないでしょうか。ちなみに、前述の暴れん坊将軍が出演する仮面ライダーの映画も靖子にゃんが脚本をしています。近年だと「仮面ライダーアマゾンズ」も彼女の脚本です。作風の幅が広すぎる。

 

 ということで本題。映画のあらすじはこちら。

 

 天正十年六月二日 京・本能寺。
 明智光秀織田信長を襲撃した“本能寺の変”に、歴史改変の魔の手が迫っていた。
 燃える寺から信長を逃がし歴史を変える、そんな時間遡行軍の計画は、刀剣男士たちの活躍により打ち砕かれた。
 ところが、無事任務を終えて帰還した彼らに届いた「織田信長生存」の一報。
 本来の歴史に戻すため、刀剣男士たちは織田信長暗殺を目的に再び過去へと出陣するのだった。
 どうやって信長は生き延びていたのか、怪しい動きをする影、そして立て続けに歴史介入をしてくる時間遡行軍。彼らの本当の狙いに気付いた三日月宗近は…
 正しい歴史とは何か。“守るべきもの”を守る戦いが、今始まる!

 

 時間遡行軍に信長逃されて生き残ったから歴史変わっちゃう!バレずに早く信長殺さなきゃ!というお話で展開していきます。みんな大好き本能寺の変!ウルトラハイパーメジャーな題材なのでみんな知ってる!はず!話についていきやすい!

 

 そんなわけで当時の感想をほぼそのまま載せます。完全にネタバレ、且つ見ている前提の感想です。だいぶ砕けている文面なので注釈は挟みます。では次の文節から感想です。

 

 

 開始3分で完全に特撮だったので、靖子にゃん(以下敬称略)に大感謝感激してたら2時間経ってたんだけど、良さの項目があまりにも多い。
 とりあえず、靖子は刀についての知識をどこまで叩き込んでこの土俵に上がってきたのか、そこから知りたい。他の感想とか見てないし、靖子の概念と対話してるだけだからアレだけど非の打ち所がない。

 

 2時間で疑問と伏線と回答と回収を見事に綺麗さっぱり行なっている地点で感無量なんだけど、気づく人が気づくんじゃなくて誰にでも分かるような前置きにしてあるのが良かった。さすがアマゾンズ以外大衆向けでやってきた靖子〜〜!!!!

 

 どっかの記事で見かけたけど、ジャンルは「ネオ時代劇」が一番近いって評されていておもしろかった。確かにわたしもハヤカワ文庫とかの系統だと思う。(※おそらく意味を間違えている)
 でもSFってより、史実に基づいたifのストーリーなのがすごい。刀剣乱舞の映画じゃなくてもイケるifのストーリーを二重構造にして成り立たせてるのが無茶苦茶すぎ。

 

 靖子、時空を超える系に強すぎる(ex:未来戦隊タイムレンジャー仮面ライダー電王)とはいえ、誰もが知ってる使い古されまくってる「織田信長」の逸話で1ミリの可能性ifを叩き込むのロマンがありすぎる。
 早く続編を作ってほしい……天草四郎の話とかどう……?刀あるし……。

 

 この刀の編成なに?(出てきた刀剣男士のメンバーの話)織田刀(織田家が所有していた刀)以外よくわからんけど趣味?って思ってたら大半に意味があったのも怖かった。


 逆にそこまで意味のない刀はたぶん、
山姥切国広→舞台でメインキャラクターだから(キャストがほぼ舞台キャストで構成されているので)
日本号へし切長谷部と黒田組(黒田家が所有していた刀)つながりで抑え役(キャストが、靖子がメインライターを務める仮面ライダーオーズ/OOOに出演していた岩永洋昭なので、彼女の趣味?)
鶯丸→三日月宗近平安時代つながりで古株であり、気を許せそう、ぐらい

 

 あとただの織田刀のへし切長谷部・不動行光を除くと、キーポイントになっていた刀は

薬研藤四郎織田信長が燃え落ちる本能寺で切腹するのに使用したため、一緒に燃えたあとの行方は不明

骨喰藤四郎大阪城で燃え尽きてしまったために、刀剣男士となっても刀だった時の記憶がほとんどない

三日月宗近一真実を知る豊臣秀吉の元にあった為に真実を知っていた

 たぶんこの要素のまとめ方で合ってると思うけど、この3振の物語上の使い方が上手かった。

 

 骨喰藤四郎の「燃え尽きた為に記憶がない」という設定で、「織田信長の一番近くにいたはずの薬研藤四郎が真実を知らない理由(信長と一緒に燃えたから)」を自然に補完していて、三日月宗近が「皆が知る歴史ではなく、真実の正史」の為に一人でどうにかするしかなかった。

 

 わたし自身そこまで見聞広くないからアレだけど、織田信長生存ルートは数あれど、結局本能寺で燃えたり誰かに成り代わったりなんて話が多くあるなかで、別のルートで燃やして自害させて皆の知る歴史に短期間で戻すの、あまりにも鮮やかな流れだった……まだ織田信長にこんな可能性あるのかよ……。

 

 「本能寺の変で信長は自害し、秀吉は明智を追う。『しかし、信長は逃げ道で生き延び、明智を殺害。明智は落ち武者狩りにあったとされて死亡。『信長は秀吉にだけ分かるように安土城で待つ、と伝えて天守閣で待機するが』明智の残党を全滅させるために『という名目で』秀吉は安土城を燃やし、天下統一する。」

 

 『』内がifのストーリーだけど、史実への組み込ませ方がめちゃくちゃ上手い。燃え尽きた本能寺に織田信長の遺体が無いのは逃げ出していたからであり、豊臣秀吉が残党狩りのフリをして安土城ごと燃やしたため、織田信長かどうか調べられることもなく死んだ。刀剣乱舞を絡めずこれだけでも面白いのに、「歴史遡行軍が真実を知らないために、信長が本能寺で死ななかっただけで、歴史が変わったと思い込んでいる」という刀独特の世界観の絡め方も上手い。靖子マジでどういうことなん?天才?

 

 ストーリーだけで良すぎた点が死ぬほどあるので驚きの有様なんだけど、映像ものだからこそできるCGの演出、光の加減、あと基本的に外で撮影してるから自然の要素が強くて、髪や着物が優しい風に靡いてるのが生命を感じて良かった〜〜!殺陣や演舞で翻る髪や布地とはまた違う感じ方だった。ミュージカルや舞台では見れないものだと思うので。

 

 あと、舞台では前ちゃん(前山剛久さん)が鶯丸をやっていたのに、なぜ映画ではちゃんとも(廣瀬智紀さん)がやっていたかの見解ですが、映画での鶯丸は皆を欺いた三日月が信用しているレベルの人物なので、本丸では同等の古株なのでは?と思い、ひろき(三日月宗近を演じる鈴木拡樹さん)と同等に肩を並べることが出来て、なおかつ古株の空気感を出せるキャスティングかなあ、と思いました(何作か別作品で共演している為)。前ちゃんのスケジュールが合わなかっただけかもしれないけど。

 

 

 感想終わり。映画館は映画だけに集中していい空間なのでとても脳に効きます。次の日に前日の記憶がないわたしが、数日経ってもこんな事細かに内容を覚えている。すごい。あとこの日はトンデモバカスケジュールでした。1日に3本も映画館で映画を観るべきでは無い、整理が追いつかない。そう言って1年後、わたしは全く同じことをします。次の日に前日の記憶がないので。

 

 述中にあった「ネオ時代劇」の記載があるなんかの記事を見つけたので貼っておきます。男性目線で綴られた、刀剣乱舞に全く触れたことがない方向けのコラムです。

 

 

 

 それはそうと、続編公開が2021年に決まったということで👏🏻おめでとうございますそして楽しみ〜!靖子が脚本だったらいいな、超期待しちゃいます。

 

 

 あと卓球の王将が面白すぎてヤバイので気が向いたらまとめます。すっかり毎週の楽しみになっててびっくりです。こんなはずじゃなかったのに……。

 

 おしまい。